Familiar Flowers 2

身近で咲く花たち。

タツナミソウ属の一種 Scutellaria sp.

花の写真

落ち葉が積もった林床から、同じ林内の少量の水の流れがある湿地にかけて咲いていたシソ科タツナミソウ属の一種。

 

花序1

花序は1段しかないものもありますが、2,3段のものが多く、

 

花序2

いくつかは4段のものがあり、

 花序3

一番多いものでは5段というものもありました。(写真奥で若い果実になっている方が5段)

 

花冠には腺毛が生えています。

花の色合いは下唇の張り出した部分は紫色で、中央の白い部分に紫色の斑点が多数並ぶといったものが多い。

 

花の様子

中には張り出した部分がほぼ白色のものもありました。

 

花の長さ

花の長さは2cm弱。定規を立てると1.5cmくらい。

 

花序の長さ1

花序の長さは、4段のもので3.5cmくらい。

 

花序の長さ2

5段あったものでは5cmくらい。

 

花序の様子1

花序の様子2

花付きはそれほど密集していない。

 

花序の軸などの様子

萼や小苞、花序の軸にも腺毛があります。

 

株の様子1

株の様子2

あまり叢生せずに、1,2本の茎が立っている状態のものが多い。

草丈は15cm程度というものが多い。

 

株の様子3

1株だけ叢生したものも見られました。草丈は同じく15cm程度。

 

草丈の高かったもの

一株だけ30cmくらいのものもありました。(下の方が埋もれているのでもう少しあったかも)

 

湿地で咲くもの

湿地状の場所で咲いていたもの。

近づけないのでよくわかりませんが、花は4~5段あるものがあり、草丈は20cmくらいはあるように見えました。

 

葉の大きさ1

葉の大きさ2

花序のすぐ下につく葉は小さく、その下に付く葉が一番大きいものが多く、その上下の茎は間延びしたように長く、その次の葉はその大きな葉とほぼ同等か、やや小さめ。その葉の下の茎は短く、小さい葉が地際にあります。

「花序→小さい葉→茎が間延び→大きい葉→茎が間延び→同等、やや小さい葉→小さい葉→地面」

といった様子が一番多いようでした。(ごく小さく咲いたものは除く)

 

葉の大きさ3

叢生状態のものでもだいたいそのような感じの葉の付き方。

 

葉の大きさ4

ただ中には、花序と最初の小さい葉の間の茎も長く、全体的に間延びした感じのものや、

 葉の大きさ5

中部に付く大きな葉の下の葉がさらに大きいというタイプもあるにはありました。

 

葉の様子

葉の様子は葉先、鋸歯ともに丸い。

葉脈に沿った斑入りの葉はありませんでした。

 

葉裏の様子

葉裏には全体に開出した毛が生えていて、腺点があります。

葉裏が紫色を帯びるようなものも見られませんでした。

(追記:下部の葉で紫を帯びたものがありました。下の方に追加画像。)

 

葉表の様子

葉表にも開出する毛が生えていますが、腺点も見えます。

後にも書いていますが、葉の両面に腺点があるというのはかなり絞られてしまうポイントなので困ります。葉の表の様子に関しては、正直油断していたというか葉裏の腺点の有無だけでいいと思っていたので、あまり葉の表は見ていないので、写真のものはたまたまの個体差だったということもある・・・のかなぁ。

 葉の長さ1

葉の長さ2

中ほどにつく一番大きな葉で3.5cmくらいというのが多い。

 

葉の長さ3

草丈が30cmくらいあった株の葉は4cmほどありました。(その葉柄は2cmくらいでした。)

 

茎の毛の様子1

茎の毛の様子2

長い毛と短い毛があり、長い毛は比較的先端までまっすぐの開出毛ですが、短い毛では下向きに曲がっているようです。(上向きも僅かに混じっている)

 

茎の毛の様子4

また茎の色は、下の方では赤味を帯びていて、上にいくと緑色になっているようでした。

茎の毛の様子は、大きな葉の付いた節の上側の茎では下向きに曲がった毛ですが、下の方の茎では開出毛が目立って見えます。

 

茎の毛の様子3

こちらはかなりはっきりと、下の方の茎ではまっすぐな開出毛が多い様子。

 

茎の毛の様子5

この茎では微妙な感じ。

 

以上、こういった具合のタツナミソウ属の一種なのですが、実は昨年このあたりで見たときはタツナミソウ(S. indica)と考えていました。

そのときはほんの一角で咲いていたものにしか気づいてなかったこともあり、日当たりなど環境的な問題でたまたま花数が少なめだったり、葉が少し大きいのだろうと考えたのでした。

その後、けっこう広い範囲に生えていることに気づき、今シーズンあらためて観察して見たというわけなのですが、葉の大きさや、花序の花数が少ないことに加え、草丈が平均的に低すぎることや、茎の色や毛の様子なども気になり、いくつ株を見ても「らしさ」がある株が見当たらない上に、むしろ林床や林内の湿地のような場所を好んでいるようにも見え、タツナミソウとするには無理があるように思えてきました。

なので、あらためて他のタツナミソウ属についても考えてみたのですが・・・。

茎の毛が開出するというイガタツナミ(S. laeteviolacea var. kurokawae)に間延びした草姿は似ている気がしましたが、イガタツナミは葉裏に腺点がないことが特徴なので違うようです。

茎の毛が下向きという特徴を持つホナガタツナミソウ(S. laeteviolacea var. maekawae)は、葉が茎の下部に集まってつくらしいのですが、地際に小さな葉一対、その上のやや大きい葉一対の計2段分の葉をもって「集まっている」とは普通言わないですし、全体的には間延びした草姿のものが多いのでこれまた違うように思えます。

また、それらの基本種にあたるシソバタツナミ(S. laeteviolacea)は、茎の毛が上向きなのでこれまた一致しません。

そもそも葉の両面に腺点が見られたという点で、それらには当てはまらないことになるのですが、困ったことに葉の両面に腺点があるというのはヤマジノタツナミソウ(S. amabilis)くらいしか情報が見当たらずで、そのヤマジノタツナミソウとは茎の毛の質を含め、その他いろいろと違っているようです。(後日追記:葉表の腺点についてはあまり明瞭でもないのであまり考えなくてもいいのかもしれませんが。)

その他にも、〇〇タツナミ、〇〇タツナミソウといったものがいくつかあるものの、特徴が一致すると思えるものは見つけられませんでした。

ということで、結局一周回ってタツナミソウ?と思ってみたり、でもやっぱり違うなと思ってみたり、堂々巡り状態です。

タツナミソウ属は見分けが難しいことで知られていますが、地域によって環境によっても変化が多そうだし、いずれにしてもよほど典型的な様子のものでないかぎり判断しようがないのかもしれません・・・。

果実や種子の様子も観察してみるかもしれませんが、おそらく答えは出せない気がします。

 

(追加画像)

葉裏が紫を帯びたもの

(5月下旬)

下部の葉で、裏側が紫色を帯びるものがありました。

 

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