クマツヅラ Verbena officinalis
道端の草地に生えるクマツヅラ科の植物。
地域によってはごく普通に見かける存在なのか、検索してもあまり希少という話は出てこないのですが身近ではまず見かけない花で、茨城県では絶滅危惧IB類(2012)となっているようです。
何年も前に一度見たきりで見かけることがなくなってしまっていたので、ほとんど諦めていたのですが、10年ぶりに当時とほぼ同じ場所でたった1株だけですが、見つけることが出来ました。(因みに、当時すでに3,4株程度だった気がします。)
場所は畦道~用水路縁の草地なので除草されることが多いですが、なんとか生き残ってくれていたようです。
古い写真を見ると当時生えていたのはもっと水田の傍だったので、逃れ逃れて現在の位置なのかもしれませんが、さらにもうちょっと地下茎で移動できるといいかも。
花冠は淡紅紫色で先は5裂し平開します。上側2つの裂片は小さいので正面から見るとちょっと縦長の印象。
萼や花軸には短毛や腺毛が生えています。
花柄はほぼ無いようですが、基部には小さい苞があるようです。
花は正面から縦に測って5mmちょっと。
横から見た長さは萼までいれて6mmくらい。(萼は3mmくらい)
茎は直立し上部で枝分かれし、その先に穂状花序を出しています。
茎の中間から上の葉では葉柄はほぼ無く、葉は3深裂し、裂片はさらに切れ込みます。
葉の縁や表面には全体的に毛が生えています。
葉裏は脈上に毛が見えます。
下部の方の葉は卵形といった様子で深裂せず、基部は楔形に括れたのち葉身が流れ葉柄があるようです。
茎には4稜があり断面は四角。稜上に開出毛が疎らに見えます。
まだ熟していない萼に包まれた果実。果実は分果だそうです。
久しぶりに見ることが出来て良かったですが、そう喜んだのも束の間、次見たら除草されてたなんてこともよくあるので、1株だけというのがなんとも頼りなく感じます。
いくら宿根だからといって、そう何年も刈られていれば弱ってくるし、この場所で除草剤が使用されているか把握していませんが、たとえこれまでは生き残ってきたとしても、いずれは除草に強い植物が優勢になると思うので。
でも、クマツヅラ以外にも同じくらい長いこと見かけていない花がいくつかありますが、それらもまた見ることできるかも?なんて思えてくるような、久々の嬉しい再会でありました。