(?)ムツアカバナ Epilobium pyrricholophum var. curvatopilosum
道端で見かけたものではなく家の鉢植え。
10年くらい前になんの花か忘れましたが、園芸店で売られていた何かのポットに生えていたのが気になってお願いしてもらってきたもの。
その後は「野草なのでほっといても増えるだろう」と一旦露地植えにしておいたのですが、結局増えなくてギリギリ生き残っていたのを昨年(一昨年?)から鉢にあげて管理することに。
因みにもらってきた当時はただのアカバナかなと思ってもらってきたのですが、その後腺毛がないことに気づいて、それ以来なんだか判らずにいました。
あらためて調べてみると、今回ムツアカバナというものに辿り着きました。
広島大学デジタル自然史博物館というサイトによれば、ムツアカバナはアカバナに腺毛がなく曲がった毛だけのものとのこと。
他のアカバナ属(Epilobium)も何種も調べてみましたが、柱頭の様子、腺毛、果柄、花の大きさや葉の鋸歯の様子などの条件で一致するものは見つかりませんでした。
ということでムツアカバナかなと思うのですが、あまり情報がないのではっきりわからず一応タイトルには「(?)」を付けています。
花径は1cmくらい。昨年なんかはもっと小さい花でした。鉢植えだったり、それまでの場所も適地でなかったと思われるので、そういう影響かもと思います。
柱頭は棍棒状。花の様子は特にアカバナと変わりないと思います。
萼に腺毛はなく、屈毛が生えています。(曲がっていないただの伏毛のような感じのもあると思いますが。)
子房にも同じように屈毛や伏毛といった感じの毛が生えていて、通常のアカバナのような腺毛はみられません。
花によってけっこう長さに差があるかもですが、写真のもので子房は2cm程度。
葉の形は変化ありますが基本的には通常のアカバナと様子はあまり変わりないかと。
ただし、外で見かけるアカバナより全体にやや小型で茎も細い気はします。
花が咲いたのも時期的に早い気がするし、それらも鉢植え管理(小さい鉢)なので少々そういったことはあるのかなぁと思います。
表面は無毛と思いましたが、他の写真でみると毛はあるようです。
裏面は葉脈上に疎らに屈毛があります。
上部の方は互生。
因みに脇芽はもっていますが、分岐自体はいまのところなし。普段(これまで)もそんなにしてた記憶はありません。
やや上部の茎。
茎には全体に屈毛が散生し、腺毛はないようです。
下部の方の茎では葉から続いた稜の上にだけ屈毛がありました。
でもちょっとここで疑問が浮かびました。
ムツアカバナはアカバナの毛の状態が違うだけの変種だとしたら、稜があるのは変かなと・・・。情報が少ないのでわかりませんが、ちょっと気になるポイントです。
果実は現在付いている長いもので、5.5cmくらい。果柄は1.5cm程度。
果実にも腺毛はなく屈毛や伏毛だけが生えているといった感じ。
といったところですが、茎の稜についてなどすっきりしないところもあるので他の仲間についてもう一度頭を整理してみると・・・。
アシボソアカバナは果柄の長さに花の大きさも違う。
エダウチアカバナは葉が全縁で枝分かれが多いので違うし、
ホソバアカバナはエダウチアカバナに似て、分岐が少なく葉が細いものなので違う。
ヒメアカバナは鋸歯の数などが違う、
ミヤマアカバナは果柄や果実に腺毛があるので違う、
シロウマアカバナはミヤマアカバナの種子に乳頭状突起がないものですが、やや正体不明。
エゾアカバナは柱頭が違う。
トダイアカバナは葉の様子や花の大きさも違う。
カラフトアカバナは、このところ小さい花を咲かせていたのでもしや?とも思ったのですが、枝分かれや花の大きさ、腺毛などなど昨年観察した限りでは違います。
と、ここまでそれぞれにあげた相違点は一部なので他にも違いがありますが、やっぱりムツアカバナが一番合ってそうではありますが、どうなんでしょう。
売られていた黒ポットに生えていたものなので、たとえば高山系が生えててもおかしくないし、海外のものが生えていても不思議でもなく、難しいところです。
(追加画像)
(6月下旬)果実が裂開して種髪のある種子が出てきました。
アカバナの種子としてはちょっと小さいでしょうか。0.8mmくらいでした。
特に現在も腺毛など生えてきたということはありません。
(9月上旬、以下4枚追加)
すでにこの記事に載せていた花はすべて咲き終わり枯れました。(地上部)
で、そのこぼれ種があちこち発芽していて、それらが咲き始めています。
花は7,8mmと少しだけ小振り。
萼の様子。
茎の様子。
果実の様子。
種子から増えたものも毛の様子など特に変わりないようです。
(9月中旬)
ほぼ1cmくらいの花も咲くようになってきました。
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