カマヤマショウブ Iris sanguinea var. violacea
アヤメ(I. sanguinea)の変種とされ、いくつかアヤメとは違う特徴をもっていますが、中間的な様子のものもあるそうです。
参考 アヤメの諸変種、特にカマヤマショウブに就いて (pdf)
(※はじめの記事投稿時には、中間型かもしれないと思ったものも比較しつつ載せていましたが、その後あらためて見ているとそちらはアヤメに近いと感じたので、アヤメの記事の方に載せることにし、こちらはカマヤマショウブと考えるものだけを載せることにしました。)
水田縁に植えてあったものです。(端はドイツアヤメ(ジャーマンアイリス))
草丈(花の位置)は1mは普通にあるように見えました。
花は、葉の茂る位置より高い位置で咲いています。(葉は長いですが、ほとんどの葉は途中で垂れている。)
通常のアヤメでは、葉とほぼ同じくらいの高さに花があり、草丈は30~50cm程度。(葉が比較的直立しているものが多い。)
花色が濃いというのもカマヤマショウブの特徴の一つ。少々赤紫色を帯びているように見えます。変種名はすみれ色といったことを示しているのだろうと思いますが、たしかにそんな色合いに感じました。
普通のアヤメは一般的に青味が強くやや淡い色合いが多い。
普通のアヤメと比べると黄色の斑紋の先にある白い部分が少ないようでした。個体差かもしれませんが。
定規がズレていますが、外花被片の幅は5cmくらいありました。
小さく見えたものでも測ってみると4cmくらいありました。
普通のアヤメは広めのものでこのくらいと思います。
内花被片の様子。幅を測れば良かったのですが、忘れました。見るからに普通のアヤメより広そうな感じは出てますが。
内花被片の長さは5cmくらいでした。
普通のアヤメより内花被片、外花被片ともに大きい。
花序の花数が3つというのが普通に見られました。
アヤメは通常2つ花を付けます。
苞葉は赤味はあまりなく、枯れて破れたようなものが多い。 (タイミングのせいもかるかもしれませんが。)
また、花茎の途中から枝分かれするものも見られました。
横からの花被片基部の様子。
葉の中脈の様子。それ自体は特にアヤメと違わないと思います。
葉の幅は1.1mmくらい。
葉の捻じれ具合についてはあまりわかりませんでした。
葉の質は、少々硬いというか質が厚ぼったい感じはしましたが、感覚的なものなので難しいところです。
花の部分を除いた葉姿だけの状態をイメージするとイネ科のような雰囲気があるような気がしました。
一応、若い果実の大きさ。果実が熟す頃まで刈られずにあるかは怪しいので今後の状態が確認できるかどうかはわかりません。
カマヤマショウブでは、乾燥前の果実で網目状の脈の隆起が目立つらしいのですが、この表面の凹凸のことを言っているのかなんなのか、いまいち理解できてません。
現在のサイズでいうと1cmくらい普通のアヤメより大きそう。
離れた場所にあった小さな株。株分けされたものなのかなんなのかわかりませんが、小さくても葉に対して花茎が長く花が目立っていました。
といった様子でしたが、参考文献内にある昔の写真と印象が近いし、その他の特徴も一致している部分が多いと思われるので、トータル的に考えてカマヤマショウブかと思います。
ただ気になるのは・・・シベリアンアイリス(I. sibirica) と アヤメ(I. sanguinea)やその他を交配してつくられたシベリアンアイリス と呼ばれる園芸品種群に、画像検索で見る限り(それらが正しい情報とするならば)、花の様子がアヤメ、カマヤマショウブ、或いはシロアヤメにそっくりなものがあります。シベリアンアイリスの特徴としては草丈が高く(そこまで高くないものもあるとか)、花が葉より高く突き出るといった程度のことしかはっきりとしたことが分からないのですが、それだけだとカマヤマショウブの特徴と被っています。なので、シベリアンアイリスのはっきりとした特徴が知りたいところです。とりあえずはシベリアンアイリスがまだそこまで出回っていないであろうと想像するのと、もし出回るなら既存のアヤメやカマヤマショウブとそっくりなタイプよりまずは変化にとんだものからではないのかと思うので、今回見たものはシベリアンアイリスとは違うと考えるのですが、実はそっくりなシベリアンアイリスも出回っていたというのであればややこしいことになります。そのときは、そういった情報を見つけたときにでも考えることにします。
(追加画像)
別な場所の農地傍に見かけたものです。離れた位置から上から見下ろして撮っているのでいい画像でないですが。
先のものよりやや丈は低いようには見えましたが、それでも普通のアヤメよりは高いです。花が3つほどついた様子もありましたし、葉の茂り方なども含め全体の様子も同じ印象。
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