セイヨウシャクナゲ Rhododendron × hybridum
庭木、或いは鉢植えなどで栽培されるツツジ科の常緑低木。
一般的にツツジ属の中で枝先に半球形の花序に多数の花をつけるものをシャクナゲと呼んでいますが、その中でセイヨウシャクナゲは、欧米で改良された園芸種の系統で、国内でも多数の園芸品種が作られています。
庭木ものは葉が傷んでしまっているので鉢植えの写真。
あまり雨風にさらされたり日当たりが良すぎる環境は合わないようで、環境を変えられるように鉢での管理にしたところだいぶ調子がよくなりました。ただ、庭植えしたものでも別な園芸品種は比較的問題ないので、園芸品種によりけりとは思います。
園芸品種の数が多いので一例ですが、写真のものでは花冠は7裂。雄しべは14本というものが多いようでした。だいたい花冠の裂片×2倍が雄しべの数になるらしい。
葯は上部が開く。
雌しべの花柱は上向きに少し曲がる。
花が散ったものでの雌しべの観察。(花冠は抜け落ちます。)
花柱~子房に短い腺毛らしきが多い。
花冠の割りに萼は小さい。
大きく膨らんだ展開一歩手前の花芽の様子。
鱗片葉(芽鱗)は開花が始まると徐々に落ちていきます。
開花中の花序内部の様子。
各花ごとの鱗片葉は落ちています。小花柄の基部に毛の生えたひも状のものがありましたが、何であるかはわかりませんでした。こちらも間もなく枯れるかして落ちます。
花序は頂生で、すぐ下の葉腋(或いはそれ以下の葉腋)に新しい芽が付いています。
こちらは、花芽にならず葉芽だったもの。
葉は革質で主に長楕円形。
葉柄は無毛。基部は円形~ほぼ切形といった様子。
葉縁は全縁で外(裏)に巻いています。園芸品種によってはもっと葉の縁が大きく巻くと思いますが、写真のものはごく狭い。
葉裏は無毛で、盾状鱗片(鱗状毛、腺状鱗片とも)はない。
ツツジ属はいくつかの亜属を持ちますが、一般的にシャクナゲと呼ばれる様子のものであっても、ヒカゲツツジ亜属(subg. Rhododendron)のものでは葉裏などに盾状鱗片(鱗状毛、腺状鱗片)があり、有鱗片シャクナゲと呼ばれるようです。たいして、シャクナゲ亜属(subg. Hymenanthes)のものは盾状鱗片がないので無鱗片シャクナゲと呼ばれます。
これは別の園芸品種(次の写真の花)で撮った樹皮の様子になりますが、樹高は1mほどであまり幹は太くはない樹ですがが、深い縦割れが目立ちました。
(2017年5月上旬)その花の様子。
こちらの花は今シーズンはまだ咲き始めたところなので以前撮った写真。
これまで載せてきたものとは、大きな特徴は同じですが、細部の様子は少しずつ違います。(花冠の色、大きさ、裂片数、花柄などの毛の様子、葉の大きさなどなど。)