Familiar Flowers 2

身近で咲く花たち。

水仙類 Narcissus

ラッパスイセン系の花 正面

水仙は春の花壇や庭を彩る定番の花で、多数の園芸品種があります。あまりに多いのでまとめて載せることにします。

水仙の栽培種はイギリスの王立園芸協会(RHS)によって13の区分(division) に分類され、それが世界的に用いられています。ということで、その分類別にいくつか身近な水仙を載せて置くことにします。

 

・ラッパスイセン系のグループ(division1)

ラッパスイセン系の花 全体的な様子

division1はラッパスイセン系の園芸品種で、花は花茎に一つ、副花冠が花被片より長いか同長のものになります。(因みに、1枚目の写真も同じ花です。)

 

ラッパスイセン系の花3 横アングル

写真は自宅栽培のもので園芸品種だとは思いますが、具体的に園芸品種名まではわかりません。また、原種のラッパスイセン(N. pseudonarcissus) についても、どのような特徴をしているのか調べがつかなかったので、残念ながら原種との違いも分かりませんでした。

 

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・ヤエザキスイセン類(division4)

ヤエゼキスイセン類の花1

division4はヤエザキスイセンのグループ。

写真のものは栽培される他、道端などでもよく見かける八重咲きの水仙で、 'Telamonius Plenus' という園芸品種ではないかと思います。他に Van Sion と呼ばれていることもあるようです。(Plants databaseというサイト参考)

division4の特徴は、花数は花茎に1かそれ以上で、花被片か副花冠の片方かどちらかが八重になるというものです。(ずいぶん条件が緩い気がしますが。)

 

ヤエゼキスイセン類の花2

こちらは自宅庭の花で八重咲きのスイセン(別名ニホンスイセン)と思います。

'Double roman'という園芸品種に似てるのでそれかなと思うのですが、購入時のラベルに園芸品種名の記載があったかどうかは覚えていません。

スイセン(N. tazetta ssp. chinensis)と同じで早春咲きです。

八重咲きなので division4 として載せたのですが、検索すると division13 としている情報もあるようでした(海外の検索結果)。スイセン(N. tazetta ssp. chinensis)は原種なので division13になります。その品種(form)のうちと考えれば division13ということになるような気もします。そういえば、考えようによってはタゼッタ系の園芸品種ということで division8 に入ってもおかしくないような気もしてきました。

しかし、わざわざ八重咲きのグループを緩い条件で作ってあるのだし division4 とするのが正しいのかなと思います。(結局はどう登録されているのか次第だと思うので個人で考えても仕方ないのですが。) 

 

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・トリアンドルス系(division5)

トリアンドルス系の花 全体的な様子

写真のものはおそらく 'Thalia' という園芸品種。基本、園芸品種名を覚える気があまりないので、これも購入時のラベル記載は覚えていません。

トリアンドルス系は division5 で、トリアンドルス(N. triandrus)の特徴を持つもの。やや遅咲きで春の中盤から後半に咲き、花は小~中輪で俯き、一茎に2~3個、花色は白~黄色、花被片が後方へ反ります。

 

トリアンドルス系の花 花被片

原種の花被片は強く反り返りますが、こちらは少々、後ろに反る程度。

 

トリアンドルス系の花 花序

'Thalia'の説明では花数は2~4ということでした。

 

トリアンドルス系の花 咲き始めの様子

一つ目の花が咲き始めた頃は、花茎はほぼ直立し、子房の基部辺りから下向きに角度は強めに曲がっていました。

その後の現在は角度が広く開きましたが、花茎自体が花の重みのせいか斜めになっているので、花の向きとしては斜め下向きのままです。ちょうど斜め下向きになるようになっているのかもしれません。

 

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・タゼッタ系(division8)タゼッタ系の水仙

division8 のタゼッタ系水仙は、花数が3~20と多いことから房咲き水仙とも呼ばれます。N. tazettae の系統で花は小さめで芳香があるものが多い。

写真のものは公園の植栽ですが、 'Geranium' という園芸品種かと思います。花はタゼッタ系としては大きめ(後で測ってみます)。顔を近づけなくても分かるくらい香りが周囲に漂っていました。

 

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・ブルボコディウム系(division10)

ペチコート水仙

写真はペチコート水仙と呼ばれよく栽培されている小型の水仙ですが、division10 になります。division10 は、Bolbocodium節の特徴をもつもので、通常は花は一つの茎に一つ。副花冠に対しかなり小さな花被片を持ち、葉はとても細いです。花柱と花糸は通常カーブします。

 

ペチコート水仙 花の様子

花糸と花柱は上向きに曲がっています。

 

ペチコート水仙 横アングル

雌しべが長く副花冠から飛び出していました。

 

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 ・スプリットコロナ系 カラー水仙(division11a)

スプリットコロナ系 カラー水仙の花

division11 のスプリットコロナ系の水仙は副花冠がその長さの半分以上裂けたものですが、さらにその裂片の配置で「カラー水仙(11a)」と「パピヨン水仙(11b)」に分けられるようです。

そのうちカラー水仙はこの写真の花のように、副花冠の裂片がたいていは二重になり、花被片と同配列(対生)のものです。(写真は2016年。このときの花を最後にモザイク病のせいか花を咲かせなくなってしまいました。)

一方のパピヨン水仙の写真はありませんが、特徴は副花冠の裂片は一重で、花被片と交互(互生)の配置になるものとのことです。

 

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・その他(division12)

ミニスイセン

division12 はその他の水仙ということになっています。

写真は 'Tete-a-Tete' という園芸品種と思いますが(やはり購入時の園芸品種名はチェックしてませんでしたが)、丈夫でよく増える水仙で、草丈は15cm程度と小型でミニスイセンとも呼ばれています。花は早春咲きです。

 

他に、

division 2(タイハイスイセン類)、division3(ショウハイスイセン類)、division6(キクラミネウス系)、division7(ジョルキル系)、division9(クチベニスイセン系)、division11b(パピヨン水仙類)、division13(原種の水仙類)とまだいろいろありますが、そのうち見かけることができたら追加しようと思います。