イロハモミジ Acer palmatum
植栽されることも多いムクロジ科の落葉高木で、代表的な楓のひとつ。
4月くらいに新葉の展開に伴って赤色の花序をぶら下げます。
一般に雌雄同種とされ同じ花序内に雄花と両性花が混在するとされているのですが、この写真のように樹によっては雄花しか咲かせていないものもよく見かけます。
こちらも雄花花序のみの様子。
雄しべは8本で萼片より長く飛び出し、雌しべは退化しています。
葯は紅色で、花粉を出したあとは暗紫色。
紅色の萼片の内側にあるのが花弁で、色は白っぽいのが一般的と思われますが、樹によっては赤味が強いものもありました。
白っぽい花弁でも赤色の成分は少し入っているし、花弁の色だけが特徴の園芸品種というのは考えにくいので、花弁の色の濃淡には個体差があるのかなと考えています。(ということでこの記事に載せているものは特に区別せずに載せています。)
こちらは両性花を咲かせている花序。雌しべが長く花から飛び出しています。
両性花は一つの花序の先の方で1,2個付いているものが多いようでした。
まだ開花していない基部寄りの蕾がおそらく雄花だろうと思われます。
雌しべの子房は果実にも見られるように大きな翼があります。
花柱は2本が合着しているようで、ちょうど外にカールした柱頭の基部付近で2岐しているよう見えます。
両性花の雄しべは短く花の中に納まっています。
花径は雄花は雄しべが開いている分大きいともいえますが、だいたい7mmくらい。
花序の長さは4~5cmくらい。
花序の基部には長く成長した赤い鱗片が目立ちます。(花が咲き始めてしばらく経過するころには萎れてきているようでしたが。)
花芽からは若葉も一対出ています。
若葉の様子。基本的には7深裂で、裂片はあまり幅がなく比較的ほっそりしている。
鋸歯はやや欠刻のある重鋸歯。
若い葉の表面には毛が散生しています。特に基部付近は多く叢生していて、あとは脈上を中心に多めのようです。
葉柄の上面は窪まないともされますが、個人的には窪んでいるものをよく見ました。
中には毛の少ないものもありました。
葉裏も基部の脈腋に毛が見らます。
(2018年6月上旬)成葉になってきたころの様子。
ほぼ成葉の様子。
欠刻のある重鋸歯なので、細かく感じるオオモミジの鋸歯と違って鋸歯が粗い感じがします。
いずれ無毛になるかもしれませんが、この時点では褐色になった毛が葉身基部に見られました。
葉裏も葉腋の毛の様子。こちらはまだ白っぽいようですが、フラッシュの影響もあるかも。
果実はプロペラのような長い翼があります。
ほぼ水平に開き、上向きに付いているものが多い。
果実の横の長さは1.8cmほどでした。
分果は1.5cmほどとされているようなので、おそらくもう少しこの後成長すると思われます。
樹皮はなめらか。ところどころ縦筋が見える。
それなりの古木では細かく剥離がみられ荒れていました。
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