ブドウムスカリ Muscari armeniacum
春の花として鉢植えや庭植えで観賞用に栽培されるキジカクシ科の花。ときどき野生化したものを見かけます。
一般的に「ムスカリ」と呼んでいるものなのですが、和名でムスカリとした場合 M. neglectum のことをさします。後にも書いていますが、M. neglectum は こちらの M. armeniacum のように葉が長くなく、基本の花色は黒味の強い青色をしています。
春に花茎がのび総状花序に鮮やかな瑠璃色をした小さな花を密に咲かせます。
一つの花序の花数は20~40。
正確に数えてみたりはしていませんが、一方向から見てたいてい20個くらいはあるので、その範囲内にあると思います。
花色は他にも園芸品種によって白色や空色や桃色などあるようです。
花被片は先の方がすこし窄まる壺状になり先端以外合着、裂片の先は外に反り白色。
雄しべの数ははっきり見えにくいですが6本あり、中心に白い柱頭が一つ見えます。
花序の先端の方で咲くのは不稔性の花。
稔性のある花が下から順々に咲き上がっていくなか、不稔の花は比較的早いうちから開花しているようです。
稔性の花に比べて、不稔の花はやや色が明るかったり薄い色をしているなど変化があるのですが(あまり変化ないものもある)、昆虫へのアピールなんでしょうか。
小花柄基部には白っぽい小苞がある。
花序の先端に不稔の花が付かず、小苞だけのものもありました。
線形の葉は、だらんと横たわってます。
このやたらと長い葉が M. armeniacum(ブドウムスカリ)の特徴の一つ。葉を垂直に持ち上げてみると、たいてい花序の先端の位置よりも長いようでした。
M. neglectum(ムスカリ) では花茎とほぼ同長で、ルリムスカリという和名の M. botryoides では通常、葉より花茎の方がやや長いらしいです。
ついでに書くと、花色は主にブドウムスカリでは写真のような色ですが、ムスカリは黒味が強い青色で、ルリムスカリは空色とのこと(花数は12~20と少な目)。
それにしても、黒味がある方がブドウっぽいと思うのですがそれがムスカリで、空色をしたものがルリムスカリってなんだかおかしな気がしますが、それぞれ園芸品種もあるので、栽培されるものにおいては結局のところ、花色は様々ということになると思います。
他に栽培されるものでは M. latifolium という葉が幅広で一枚しかつかないものなどもあります。
(2017年4月上旬)こちらはその M. latifolium の葉。
戻りまして、ブドウムスカリの葉表の様子。
葉裏の様子。
株元の様子。
(5月上旬、若い果実、以下3枚)
先端から見ると、けっこう極端な3稜形。
果実の長さは8mmほどでした。