ピラカンサ Pyracantha sp.
公園樹や庭木などでよく見かけるバラ科常緑低木の花。写真は公園の植栽。
ピラカンサと呼ばれ栽培されるものには、トキワサンザシ(P. coccinea)、別名ヒマラヤピラカンサとも呼ばれるカザンデマリ(P. crenulata)、タチバナモドキ(P. angustifolia)の3種のほか、トキワサンザシとタイトウカマツカ(P. koidzumii)の交配種ピラカンサ モハベなどの園芸品種もあるようです。
散房花序に多数の花を咲かせています。
この花を撮っているときはトキワサンザシと思って撮っていたのですが、どうもカザンデマリとの見分けが難しそうです。どちらとも言えない様子がみられるし、園芸品種については情報はさら少ないので判断しようがなく、タイトルはピラカンサとしておくことにしました。
雄しべが目立つ白の5弁花。
雄性先熟のようで、雄しべの葯が黄色っぽく見え花粉を出しているものでは雌しべの柱頭がまだ中心に集まって見えますが、
花粉をほぼ出し終えたと思われる茶色の葯の状態では雌しべの花柱は5つにはっきりわかれていました。
花径は1cmくらい。
花托筒は半球形で花柄など含め少々毛が見られました。
カザンデマリは無毛という情報もあれば、初期には毛があるという情報もあったりで、現時点の毛が初期のそれなのか、そうでないのかわかりません。
トキワサンザシは有毛らしいですが、この程度の量なのかわかりません。
葉は倒披針形で先の方で幅が広い葉が多いですが、狭い長楕円形のようなものも探せばある。葉先は丸く先端には小さな突起があり、縁には浅い鋸歯があります。
葉の形での見分けポイントとしては、よくトキワサンザシは「先の方が幅が広い」、カザンデマリは「中央が一番広い」などいわれていますが、実際にはけっこう株内でも葉の形に変化があるように見えますし、難しそうに思います。たとえばカザンデマリの葉は絶対に先が広くならないというわけなら別ですが。
葉表はごく疎らに毛がありました。若い葉ということもあるのかと思います。
葉裏は緑白色。細脈までよく見えます。
同じく若い葉ということがあると思いますが、主脈に毛が散生しています。
葉の長さは写真のもので6cmくらいでした。
もちろん写っているようにもっと短いものもあります。
葉の幅は写真のもので2.0cmくらい。特に広かったものを測ったわけでもないので、もっと広いものもあるかと。
長さは、トキワサンザシが4cmとか4.5cmくらいまでとされ、カザンデマリは6cmくらいとされ、葉の幅は、トキワサンザシの方が2.5cm程度までと幅が広く、カザンデマリは1.8cmくらいまでで細いとされているようです。
それでいくと今回載せているものは葉の長さ的にはカザンデマリですが、幅はトキワサンザシということになり、おかしなことになってしまいます。
また、カザンデマリの方が葉が小さいと説明されていることもあるのですが、数値的なものではどちらが小さいとは言い難いと思いますし、よくわかりません。
若い枝は赤い。褐色を帯びた毛がやや疎らに生えていました。
樹皮の様子。よく見るとイトミミズのような変わった筋の模様が多数見えます。樹皮の様子について特徴が出ているという話はみられないので、あまり特徴としては関係ないものかも。
枝のトゲの様子、有無については未確認。
さくっとトキワサンザシでもアップしておこう~なんて思っていざ調べてみたら、とんでもありませんでした。
トキワサンザシとカザンデマリの見分けの難しさだけでなく、園芸品種に関する情報もほとんどないので、それがどういうものか分からない限り、トキワサンザシとカザンデマリのどっちかということでも済まないわけで。
モハベという園芸品種は生垣によく利用されるらしく、それを重視するとこの公園の植栽も生垣状に整えられているので、それなのかもしれないとも思えてきます。ただし、それ以外のモハベについての特徴はさっぱりわかりません。そもそも他のものが生垣状にされていないわけでもないでしょうし。
ここの植栽の果実の様子の確認ができてないのもよくないですが、果実が確認できたところでそれでもなお難しそうです。一応また果実の時期にでも観察できたら考えてみたいと思います。
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(5月下旬、以下4枚)
短枝の先がトゲになっている。
こちらは短枝の基部にトゲがある。短枝の先もトゲになりそうな感じ。
若い果実。