キリ Paulownia tomentosa
キリ科落葉高木。畑の縁などで植えられたものをたまに見かけます。
木材としてよく知られていますが、五三桐など家紋のデザインでも有名。
花は葉に先だって咲き始めていましたが、現在は葉も揃ってきて同時に見られます。
(2016年5月中旬)
なかなか手の届かない場所でしか見かけないので実際に測ったりできませんが、花冠は長さ6cmくらいの唇形花。
花色は薄紫色で、短毛が密生しているのは見えます。腺毛も混じっているようです。
萼は茶褐色で先は5つに中裂。
新枝の先に大きな円錐状の花序をつけます。
葉の無い状態でこの大きな花序が出ている様子はけっこう個性的。
葉は3~5つに浅く裂けますが、葉によってけっこうバラつきがありました。
葉の長さは20cmくらい。
葉表の毛は疎ら。点々と中央が窪んだような腺が見えます。
葉裏は縮れた軟毛が生えているように見えます。葉裏は星状毛が多いらしいのですが、葉脈状に特に見られる纏まった毛は星状毛でしょうか、拡大してもはっきりとは確認できませんでしたが。あとに載せている幼木の葉とは毛の様子が違って見えます。
葉は対生。若い枝や葉柄も有毛。
拡大してみると腺毛のようです。
(2016年6月中旬)
最初に「たまに見かける」と書きましたが、そのわりに親木がどこにあるのかわからないようなあちこちで幼木を見かけます。たいてい草刈りにあって切られてしまいますが、また翌年には再び2m以上くらいになっていたりします。先駆樹種ということで成長がかなり早いようです。
(2016年6月中旬)
幼木の葉は非常に大きく4,50cmほどありました。
(2016年6月中旬)
幼木の葉では表面や縁にふわふわとした柔らかい毛が密生していました。
(2016年6月中旬、一つ上の画像の拡大)
葉の表面の毛はこの角度では分かりづらいですが、縁の毛は拡大してみると腺毛でした。毛の長さには長短あるようです。
(2016年6月中旬)
幼木の葉の裏面の様子。
(2016年6月中旬、一つ上の画像の拡大)
幼木の葉裏も脈上に腺毛が密生していました。それ以外の部分も有毛ですが毛の質まではこの写真では確認できず。
幼木と成木で葉の毛の様子が違うものなのか、季節によるものなのか、よくわかりませんが花期に見た葉(今回)の様子と幼木の葉では毛の様子が違うようでした。
(2016年6月中旬)
葉柄や茎にも腺毛が密生している。
花期にまだ前年の果序が残っていました。
種子が残っているものもありました。種子は白い翼に囲まれています。
通常、幹は直立していますが、この樹は林縁から飛び出すように斜めに伸びていました。