ハマナス Rosa rugosa
海岸に育つバラ科落葉低木で、海岸方面ではよく植栽もされています。
写真のものは環境的に這うように低いですが、庭木などでは1m以上になります。
多くの園芸バラの原種の一つにもなっているようです。
花弁は5枚。花色は赤紫色が普通で色の濃さは少々個体差があります。
白花品種はシロバナハマナス(f. alba)と呼ばれます。
花はほぼ1日だけの花で、2日目になると見た目は咲いていても花弁が散りやすい状態。
花径は8cm前後。
多数の雄しべに囲まれて、雌しべがありますが花柱までは見えず多数の柱頭だけ見えています。
開花二日目の花では雄しべが萎れつつ中央へ集まっています。
萼片の先が一旦括れたあと、小さな葉のように広がっています。
萼片、花柄には腺毛があります。球状の花托筒(萼筒)部分は無毛で通常トゲはないですが、まれに果実表面にトゲがあるものがあるそうなので、トゲがある場合もあるのかも。(追記:トゲでなく硬い腺毛があるものがあり、下に画像追加しました。)
葉は奇数羽状複葉で、葉表は艶がある緑色。鋸歯は丸く、鋸歯の先や葉軸などに赤い腺があります。
葉軸の裏側には小さなトゲがありました。
葉裏にも腺があるようなのですが、赤くなく白っぽい。
托葉は葉柄と合着しています。縁は鋸歯状で赤い腺があります。
枝のトゲの様子。
トゲが多く長短があり、太さも様々。
もう少し古い株になると株元付近ではトゲがなくなってきますが、写真のものは株元までトゲが密生しています。
(2017年9月上旬)
果実は偽果(バラ状果)。先端には萼片が残ります。
さきほどもちょっと触れましたが、なかには果実の表面にトゲがあるものもあるようです。(追記:トゲでなく硬い腺毛のある果実の様子を下の方に画像追加しました。)
(2017年9月上旬)
真っ赤に熟した果実。右の方では朽ちたようになったものがありますが、中に毛が生えた痩果が見えています。
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(5月下旬、以下3枚)
実生で育てたハマナスの中に、果実表面にトゲのようなものが・・・。
よく見ると、腺毛でした。
同じ株内の果実でも全くないものもあれば、限られた面だけ生えているもの、全体的にあるものがありました。
毛の質は硬いのですが、トゲというほどのものでなく痛くもありません。(すぐ折れる。)
先端の方が赤くなって枯れてきているので、最終的に腺の部分が折れてなくなり、トゲ状に残るかも。トゲのあるハマナスの果実というのはこういうことなんだろうか。
因みに同時に育てた実生株はいくつかあり、この株以外の果実は皆無毛なので、個体差でこうしたものも出るようです。