ヘラオモダカ Alisma canaliculatum
湿地や水田などに見かけるオモダカ科の植物。
昨年一度記事をアップしたことがある花なのですが、これまであと一歩が近寄れないところでしか見かけることができず写真もよく撮れずにいました。今回手の届く範囲で見ることが出来たので、あらためて上げ直すことにしました。
後半に以前の記事で載せていた場所でのものも載せていますが、この水田内で見かけたものはそれと比べると小さめの株で、だいたい草丈は40cmくらいでした。
中央に写る株と左の方にさらに小さい株も見えますが、あわせて2株だけありました。
この周辺でこれまで見かけたことはなかったので最近トラクターに付着した泥と一緒に運ばれてきたのかもしれません。
花径はだいたい8mm。花弁の長さは3mmちょっと。
これまではなかなか測ることもできなかったので、測れてよかった。
花弁の縁には不規則な切れ込みがあり、多数の雌しべと雄しべが6つあり、葯は黄緑色をしています。(花粉は黄色)
かなり似た花には、葯の色が褐色をしたトウゴクヘラオモダカ(A. rariflorum)があります。ただ、The plant listを見るとヘラオモダカ(A. canaliculatum)のシノニムとされているようです。なので、実物に出会ったことはないものの、見分けはけっこう難しそうです。
葯の色以外の違いとしては、草姿は小さい(葉が短い)ことや花弁が6、7mmくらいあり、縁の切れ込み具合が目立ち、花茎の最初の分岐が2つと少ない傾向があるといった情報が見られます。(追記: トウゴクヘラオモダカと思われるものも見ることができました。下にリンク有り。)
花は朝早い時間にはまだ咲いていないようで日中に咲くようです。(その日だけの1日花。)
またオモダカ科ですがオモダカとは違い、花は両性花です。(オモダカは雌雄異花同株)
萼片は3枚ですが、写真は失敗しました。(後半の別な場所の方では綺麗に撮れました。)
葉はへら状で、葉身は葉柄へとなだらかに移行しています。
後に載せている別場所のものと違い、なんでか葉があまり立たず寝ています。
今回水田で見かけたものはヘラオモダカとしては小さいと思いますが、長めと思われる葉で葉柄まで含めてせいぜい13cmといったところでした。
葉先は意外と鋭く尖ってはいないようです。
葉の基部の方の様子。
葉裏には葉脈が5本見えます。不規則で影のように映る長くて細いものはなんなのか、キズかなんかかな。
花茎の一番下の分岐。分枝は輪生し主茎に対しほぼ直角に開いて出ています。
3本太いのが出てその間からさらに枝が出たりするようです。
どれがどう対応しているのかわかりませんが、分岐位置には苞葉片があるようです。
中間くらいの位置の分岐。
花後の様子。果実は集合果。
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ここからは以前の記事で載せていた場所でのあらためての様子。
なんとか今シーズンはギリギリ手の届く位置に花がありました。
花の大きさは先にあげた水田のものと同じく8mm程度でした。
夕方の花の様子になります。花は終わりが近く花弁がだいぶ透けてきています。
葯に花粉はほぼ無くなっているようですが、雌しべの方へと花糸が曲がってきています。他の花でも見られる最後の念のため自家受粉システムかな。
こちらは萼の様子がさきほどのより良く撮れました。
楕円形を半分にした三角に近い形をしていて、明るい色の筋が6本見えます。縁にちょっと膜状の部分があります。
どこに生えているのかわけわからない感じの写真ですが、ここで見るヘラオモダカは草丈(花茎の高さ)が1m近いようなものなど大きなものが多いです。
葉の位置までは近づけないのですが、葉柄含めておそらく30cmくらいはありそうで先ほどのものよりずっと大きいです。また、こちらは葉がほぼ直立しています。
こういった姿がヘラオモダカらしいのか、環境によってそれぞれなのかよくわかりません。大きさに関しては、たとえばオモダカにも小さいものもあれば、水田で稲より高い大きな葉をもつものもあるし、個体差もかなりあるのかも。
こちらも似たような陰になった細いものが見えます。
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