ウマノスズクサ Aristolochia contorta
道端の草地に見られる花。この植物自体はそれなりにあるところにはあるといった感じで見かけるのですが、花が咲いているところにはなかなか出会いません。
去年の写真。この花は受粉システムが面白いです。
匂いに誘き寄せられ花の中に入っていった虫は、花に生えている毛が逆毛になっているため出られなくなり、丸一日ほど閉じ込められるそうです。
その内部ではどうなっているかというと、花筒の基部の膨れた球状部分の中に入ると、まず雌しべがあり、その虫が他の花の花粉をつけていると受粉されます。
次に、はじめのうち雌しべより下にあった雄しべが出てきて花粉を出すようになりますが、そうすると今度は逆毛が委縮しはじめ、花粉を付けた虫が外に出られるようになる。
・・・というようなことが、丸一日ほどの間に花の中で起こるようです。
一枚目の写真の花では毛が短いように見えますが、これはそうして受粉が済んだ後ではなく、咲き始めなのではという気がするのですが、受粉後の様子がどんな風なのか見たことがないので、どっちなのかわかりません。
見た目も仕組みも不思議な花ですが、大抵はこのような茂った葉だけを見かけます。そろそろ花がつくのかな~なんて思っていると草刈りされてしまうのですが。
なので、幼虫がこの植物を食草としているジャコウアゲハも大変です。
幼虫も成虫も毎年見るので、なんとかやりくり今のところ出来てるのだろうとは思いますが・・・。
名前の由来はおそらくこの葉の形から馬の顔をイメージし、果実の様子を馬の首に下げた鈴と見立てたのだろうと思います。(果実もやっぱり草刈りされちゃうので見たことがありません。)
カラスビシャクやテンナンショウ属の花を思い出します(笑)
ここが先ほど書いた虫が閉じ込められる部屋がある場所。
花の開口部の横幅は1cmくらいでした。
花を横から見た長さは4cm弱といったところ。
とってもユニークな姿で目立ちそうですが、緑の中に入ると紛れてしまいます。花が少ない上に目立ちません。この時も「今日も花はないか~」ってあきらめたところでした。
いわゆる綺麗っていう花ではないですが、見られると嬉しい花です。