キツネノボタン Ranunculus silerifolius var. glaber
林縁や湿り気のあるような場所に見かける花。
似た花に茎に毛が生えるケキツネノボタンがありますが、実際にはキツネノボタンにも有毛タイプがあるので単純に毛の有無では判断できません。
また、小型で斜上毛が生え花期の遅い基本種とされる似た花ヤマキツネノボタンもあります。(分けない見解もあるようです。)
他には西日本に多く、果実にトゲのあるトゲミノキツネノボタンというのもあるようです。同じく実物を確認したことがありませんが。
花の様子。
花弁はほっそりした傾向があるようです。また、普通はトップの写真のように花弁は5枚ですが、3枚や4枚のものもよく見かけます。後になって思うとシーズン初期(5月下旬くらい)の方にそういうタイプをよく見た気がします。
茎の毛の様子。
・ほぼ無毛タイプの中間と株元。
・中間が開出毛で下部は開出毛~やや下向きの毛のタイプ。
・中間から上は斜上毛で、株元は開出毛~やや下向きの毛のタイプ。
といった具合で、キツネノボタンには無毛~有毛まであり、茎の位置でも毛の量や生え方には変化があるようです。
ちなみに、いずれも茎は太く大きな個体。
(追記:あまり毛の向きには統一性がないかも。下の方に追加画像。)
葉の様子。
葉の特徴は文章に説明するとややこしい感があるのですが、丸みがあり、鋸歯が細かく(多く)、植物自体が大きいことも多いので葉もかなり大きいものがあるなど、やはりケキツネノボタンとは違いがあります。
果実(痩果)の様子。
キツネノボタンの集合果はほぼ球形にまとまる傾向があります。また、花柱の先の曲がり具合も特徴の一つ。
果実は熟してくると触れるだけでポロポロ落ちるようになります。
果実がトランプのように綺麗に並んでいる感じになるのも、稜があるのは片側だけのせいかもという気がします。(そこに着目してあまり数を見てませんが。)
果実の特徴は背側(花柱の曲がる反対側)に稜があることです。といっても、ちょっと分かりづらいですが。ケキツネノボタンの方と比べると分かりやすいかもしれません。
個人的に気になっている点。
数か所でキツネノボタンを見ていますが、いずれの場所でも萼片の先に黒っぽい斑(蕾のときに分かりやすい)があるものを見かけたことがありません。逆にケキツネノボタンでは黒い斑があることがほとんどでした。たまたまなのかもしれませんが、記録として載せておこうと思います。
ということで、
和名のせいでややこしく感じますが、ケキツネノボタンとは学名的に種小名も違う仲間なので、落ち着いて見てみるとそれほどややこしくもないようです☆
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(2018年6月下旬、5枚追加 )
以下はいずれもこの群落の中で撮ったものです。
いずれも最下部の茎ですが、下向きの毛もあれば、斜上毛もあり、開出毛もありました。(ここには無毛~ほぼ無毛タイプはみられませんでした。)
以前、草刈りにあったあとで元の茎と新たに伸びた茎とでは毛の向きが違ったという記事もあげていましたが、それらを踏まえると毛の向きに法則性はないように思います。
以下にその記事に載せていた画像も載せて置きます。(二つに分けるほどの意味がないのでその記事は下げときます。)
(2016年8月上旬、以下4枚)
この青い矢印部分が刈られた元の茎。中央に見える新しい茎には斜上毛が見られます。
こちらも刈られて枯れた元の茎では開出か下向きの毛がみられますが、新しい茎には斜上毛が見られます。
この写真でも草刈りにあった元の茎には開出毛があり、新しい茎は手前(左の方)にありますが、別々に撮ったのが次の画像。
やはり斜上毛があります。
当時の記事には、刈られた前後ともに開出毛で変化がないこともあったと記録してあったので、必ずしも変化するものでもないようです。
ということで同じ株でも変化があるので個体差というわけでもなく、同時期に観察して変化するものと変化しないものがあるので時期的な影響ということでもなさそうで、どういうことなのかわかりませんが、ともかく、あまり毛の向きは特徴にはならないようです。
(追記:もっとよく観察しないと分かりませんが、ヤマキツネノボタンとの中間的なものと見ることもできるのかも・・・。そういえば花が小さめだったような。でも、そうだとしても刈られた前後の毛の様子が変化するのは説明できないか。
また、後日これまで見ていた観察地で茎の毛を見てみましたが、それらはいずれも開出~下向きの毛といったものばかりでした。)
(2018年6月下旬)
同時期のヤマキツネノボタンの様子と近い小さなものを比較用に撮った画像。
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