Familiar Flowers 2

身近で咲く花たち。

(?)トネアザミ(タイアザミ) Cirsium nipponicum var. incomptum

花の写真1

キタカミアザミの変種とされるアザミの一種。

C. nipponicumをナンブアザミとし、トネアザミはナンブアザミの変種とされていることもありますが、YlistによればナンブアザミはC. makinoiとされているようです。(それに従いナンブアザミの記事の学名も書き換えました。)

 

全体像1

見かけたのは林の縁的環境といったらいいのかわかりませんが、日当たりはそれほどいいとは言えない湿り気もやや多めの場所。

草丈は高いもので1mくらいあるようでしたが、その半分程度かそれ以下のものも多く見られました。(草刈りが夏に入っているのでその影響もあると思います。)

 

花や蕾

頭花は横向きに咲いています。

蕾が3個くらいずつ固まってついている様子が目立ちます。

 

長めの花柄

開花中の花のすぐ下にも蕾を持つものもありますが、いくつかは花柄がやや長くて単独で咲いているものもありました。

 

花の大きさ1

頭花の大きさといっても雌しべの長さが関係してくるので、正面から花径を測ってもどうなのかという気がしますが、このような状態で雌しべの先まで入れて5cmくらい。

 

花の大きさ2

まだ咲き始めの花。同じく雌しべの先で測ると6cmくらい。

因みに似た花とされるナンブアザミの方も今年あらためて測りましたが、同じような測り方で3~4cm程度と見た目にも小型でした。

頭花がナンブアザミより大きい傾向があるのかどうか、それ自体情報が特にみつけられていませんが。

 

総苞の様子1

総苞の様子2

総苞片は開出~反り返る感じでくも毛が少しあります。

触った感じは少しだけベタつきます。

葉と総苞片のトゲがナンブアザミより長くて目立つとされますが、総苞片のトゲに関しては、あらためて確認してもいまいち差がわかりませんでした。具体的に測ったりすれば差があったのかもしれませんが。(葉のトゲについては下で測っています。)

 

葉のトゲの様子1

葉のトゲの様子2

葉のトゲに関しては明らかに、ナンブアザミよりこちらの方が目立っています。

茎につく大きな葉では、裂片の基部付近にある小片先のトゲが特に目立ちます。

 

上部の葉のトゲの様子1

上部の葉のトゲの様子2

上部の小さめの葉でもトゲの長さは目立ちます。

 

トゲの長さ1

トゲの長さ2

色が明らかに変わっている部分を測って、7~8mmありました。ナンブアザミのトゲについても測りましたが、長めに見えるものを測って4mmちょっとで、2mm程度のものも多いようでした。

 

葉裏

一応、葉裏の様子。葉裏にはトゲなどは見られませんが、全体に短毛が多いようです。

 

株元 根生葉がない

花期に根生葉がないというのも特徴とされます。

 

株元 根生葉が少し

花が一つ咲いた程度の咲き始めのもので、根生葉らしきがいくつか残っているように見えるものもありました。ちょっと気にはなりましたが、逆に「根生葉が残る」とされるものを考えるならば、はっきり多くの根生葉が残っているはずなので、1,2枚しかみられないということは、これからなくなるということだろうと思います。

草丈が高く花も咲き進んだものでははっきりとなかったので、生育段階による差なのかなと思います。

 

葉の切れ込みが浅いもの

またトネアザミの特徴として葉が深く切れ込むことがよく言われますが、なかにはほとんど切れ込まないものや、下部ではあまり切れ込まず途中から切れ込むものなど中間的なものもみられました。

そもそも葉が深く切れ込むということが特徴として強調されていることが普通ですが、個体差はまったくなく絶対にそうなんでしょうか・・・。アザミ類は地域変種というのかちょっとした差で名前がついているというイメージがあるので、ちょっとでも変わった感じがあると「もしかして違うもの?」と、悩んでしまいます。

 

丈が低め、葉の切れ込みは深いもの

丈が低めのもので切れ込みが浅いものが多いような気もしましたが、低くても切れ込みがはっきりしたものもありました。

 

ここに載せているものをトネアザミと考えた理由としては、トゲが目立つこと、花の向きや付き方、総苞の様子、基本的には花期に根生葉がないと思われることや、分布的なこと、また似た花とされるナンブアザミとも違いが確認できることがありますが、なにより150以上あるとされるアザミの中で、候補として頭に浮かぶ、或いは調べて出てくる(情報もわかる)名前で当てはまりそうなのはトネアザミくらい・・・ということが大きいです(苦笑)

なので他の選択肢があるのかどうかそれ自体がわかっていませんし、すっきりしないので、タイトルには「(?)」を付けておきます。(なんとも最近ややこしいものばかり・・・。)

アザミ類のようにやたらと種類が分けられているものといえば春~初夏のスミレ類を思い出しますが、いずれも熱心に研究しすぎなんじゃないでしょうか・・・と言いたくなります(笑)

 

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