タチシオデ Smilax nipponica
林内で見かけたサルトリイバラ科のつる性植物。
花期は5~6月のようですが、残念ながら気づけませんでした。
そもそも今年初めて気づいた植物で、この場所はこれまでもよく見ていたのに、今年の夏頃に若い果実がついていたことで存在に気づきました。
見まわしても周辺には1株しか見当たらず、果実も最下部にこれだけでした。(実の付きもさほどでない?)。ということで、もしかしたら最近生えてきたものなのかも?とも思いますが、雌雄異株ということなので、どこかに雄株もあるのだろうと思います。あまり目に付かない奥の方でけっこう生えていたりするのかもしれません。(後に見つけました。下の方に画像追加。)
液果は黒く熟し、直径はだいたい1cmくらいでした。
完全な球形というよりは縦に潰れたような球形で、表面は白粉を被ったような感じ。
綺麗に撮れていない写真とその場でも気づきましたが、虫よけしていながらも蚊が多すぎて粘れませんでした(笑)
だいぶ葉が傷んでますが、草丈は人の背丈ほど。
下部の茎は直立しています。このあたりの様子が名前の由来のようです。
同属のシオデ(S. riparia)は見たことがありませが、すぐに他の植物に絡みつくことや、花期や、花被片の様子、葉裏や葉柄の様子などに違いがあるそうです。
果実を付けていた基部にある葉(最下部の葉)とその一つ上の葉だけは細い葉をしていました。
全体に、これよりさらに明確に細い葉をしたホソバタチシオデ(f. tenuifolia)という品種もあるようです。
それ以外の葉はだいたい広い楕円形といった感じで、7本(5~7)の平行脈が目につきます。
葉の縁は全縁ですが、波打っているものが多く見られました。
葉の基部は広い楔形かほぼ切形のような丸い感じ。
葉裏は白っぽく見えます。
葉裏には全体に短毛が密生しています。
葉柄は上側が窪むような感じで、無毛。
葉柄基部には托葉の変化した巻きひげがあります。
下部は直立していますが、中間から上の方ではこの巻きひげで他の植物などに絡みついたりします。
最近は花の写真が撮れていないものも上げるようにしてますが、シオデとの違いの確認も含めて来シーズンは是非とも見てみたい花です。(下に花の様子追加)
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(10月上旬)
葉はもうほとんど枯れていました。果実は記事を書いたときの写真ではまだ一部未熟なものがありましたが、全て黒く熟したようです。
因みに写真は載せませんがルリタテハの幼虫がいました。調べると終齢幼虫のようでしたが、葉がもうほぼ無いですが大丈夫なんだろうか。
(追加画像)
(2018年4月上旬、以下2枚追加)
新しい茎の先端で芽吹いてきた様子。右の方にぼやけて見える茶色く枯れているものは昨年の茎。
下の方で蕾が出来ていました。是非とも花も見てみたいところです。
(2018年4月中旬、6枚追加)
開花していた雌花の様子。
花被片は平開というのがタチシオデの特徴の一つで、基部から強く反り返るシオデとの違い。
柱頭3で子房上位。
子房のそばに見えるのは退化した雄しべ?
そういえば、相変わらず雄株は周囲に見つけられていませんが、結実しているということはどこかにやっぱりあるのかなぁ。(後にみつけました。下に画像追加)
花径は8mmくらい。球形に集まった花序の大きさは1.7cmくらい。
下から見た花序の様子。
全体的にもだいぶ成長していました。
直立していて、すぐ傍になにがあるわけでもないですが、巻きひげが目立ちます。
現時点では下から数枚まで細い葉をしていました。
(2018年4月下旬、以下6枚追加)
雄株もありました。完全に灯台下暗しといった場所で、たまたま下を向いたら目に入ってきてびっくり。
雌花と同じで花被片は反り返らず、雄しべが6本あります。
花序は3つ出ていました。
花径は1cmほどあり、小花柄も雌花よりも長く花序全体の大きさも4cmくらいあり、雌花花序より目立ちます。目立つ割りに気が付いてなかったのですが(苦笑)
因みに雌株の方もちょっと離れたところにいくつか新たに見つけました。
こちらの雌株は花序が3つ出ていました。