オオキンケイギク Coreopsis lanceolata
道路の縁石沿いなどに見かけるキク科の花。特定外来生物だのいわれて検索してもそればかり出てきます。
外来種が生態系を壊す・・・と書かれていますが、ほんとうにそうでしょうか?
この花が生えている場所もアスファルトですが、とうの昔に人間によって自然は破壊された場所と言えます。
野草を観察していて、開発や除草剤の乱用によって「ある花を特定の場所で見られなくなってしまった」ということは毎年のように何度も経験していますが、外来種によって駆逐されてしまい見ることが出来なくなったということはまずありません。そういう状況が起きるのには、必ず人間の手が入っています。
生態系に影響を及ぼすとかなんとかいうのであれば、開発を制限したり、除草剤の乱用を禁止してほしいものです。自分たち人間の行いは棚に上げ、責任転嫁しているだけとしか思えません。
また、アレロパシーがどうのこうのともいわれますが、それは外来種に限ったことでもなければ今に始まったことでもなく、植物の持つ普通の生理作用ではないでしょうか。一種のアレロパシーともいえる人間の行為は植物の出すそれの比ではありません。
冬場の根生葉が大きく他の植物にとって陰になるとかもいわれますが、その程度で生えてこない野草もなかなかないと思います。
次々と難癖つけては、さも正義であるかのように駆除が叫ばれていますが、自分たちで在来種を駆逐しておきながら、時が経ち、後からそこに生えてきた植物を見ては「在来種を追いやったのはおまえらだ!」というのはなんとも間の抜けた話です。
山は切り崩され、海は埋め立てられて、河川沿いの土手でもなんでも、人間によってつくられたもの。どこから土砂を運んだのかもわからない。そんな状況で残された草地には除草剤をばら撒く。どこに在来種が生き残る要素があるというのでしょう。
外来種により在来種が圧迫されるといった状況が、古くからの自然が残る場所で起きたのなら、そこでだけ対処したらいいことだろうと思います。アスファルトに咲いたオオキンケイギクを見て「カワラナデシコが追いやられる」なんて騒ぐのはどうかしています。
たとえば身近なオオキンケイギクを見ても、そこまで爆発的に増えるような様子は見られません。アスファルト沿いに生えているだけで、近く草地があってもそこに元々生えていたものが元気ならそう簡単に広がったりしないと思います。
世界中どこでも同じでしょうけど、人は在来種とか外来種というワードに変に刺激されるところがあるのかもしれませんが、こうした区別は科学の分野には必要だとしても、人間の歴史に合わせて区切られただけの話で、これまでどれだけの天変地異を繰り返してきたかもわからない長い地球の歴史を考えれば、みな地球の生命でそれでいいと思っています。
これだけ世界中を動き回り環境に影響を与える人間という生命が地球上に現れてしまった以上、動植物(あえて「動」といれましたが)もそれに合わせて、分布も生態も変化していくことの方がむしろ自然ではないでしょうか。
なのでこれまでどの植物の記事でも在来種、外来種といった区別も記さずに来ましたし、オオキンケイギクと似たような状況にある植物の記事でも、特にそういったことに触れずにきました。それはあちこちでいろいろ書かれていたとしても、実際にはそれに対し同じように疑問を抱いている人はけっこういるだろうと思ったのと、野草に興味のない人たちにとってはどうでもいい話であり、あえて書く意味もないと思ったからです。
しかし、オオキンケイギクに関しては検索結果一覧が何ページにも渡り、特定外来生物だからどうだというものばかりで、花の情報のサイトもブログも全く出てこないという酷い状況になっていたので、長々となりましたがこういう逆の意見があってもいいのではないかと思い、個人的な考えですが書いておくことにしました。(そういえば検索結果の中にはオオキンケイギクから抗がん物質が発見されたという話もありましたが。)
花径は大きめのものは8cmほど。
小さめのものでも5cmありました。
総苞外片の様子。
葉は深裂し、不規則に側裂片1,2対がついてるものが多い。
頂裂片は披針形~卵状披針形~倒披針形など。
下の方につく葉。頂裂片の幅、2.7cmほど。
上部の葉の頂裂片の幅、9mmくらい。
同じく上部の葉でこちらは、8mmくらい。
株元から生えていた単葉。
葉は両面とも有毛。
茎上部になるほど無毛で、葉柄(葉の基部)付近にだけ少し毛がある。
茎の下部は有毛。
風が強くてなかなかいい感じに撮れない・・・。
似た花にはキンケイギク(C. basalis)がありますが、その昔は栽培されていたりしたようですが、現在はほぼ見かけない花です。裂片が丸みがある葉をしています。
他にはホソバハルシャギク(C. grandiflora)というのがあるようですが、ホソバと付くように頂裂片が線形になることもある細いものだと思いますが、画像検索するとそうでもないようにも見え、園芸品種もあるようなだし、いまいちどういうものなのかよく分かりません。
ハルシャギク(C. tinctoria)は完全に細く裂けた葉をしていて見た目に似てるというほどでもないですが、もう少し暑くなってから見かけるようになる花です。ちなみに秋を彩るコスモスはオオハルシャギクとも呼ばれます。